雪がつもった五箇山の合掌造り

2月初旬、真冬の五箇山合掌造り集落にいってきました。もともと豪雪地帯の上に、わたしが訪れた年はちょうど豪雪年だったらしく、「雪にとざされた山里」らしい趣ある姿を見ることができました。降り積もった雪のなか民謡にのせて踊るこきりこ節や、手づくり感あふれるろうそくの灯りに寒さが苦手なわたしもふくふく!民謡をカッコイイとおもったのは初めてですよ!白川郷とはまた違う秘境ぶり、日本昔ばなしを思わせる冬の合掌造り集落は一見の価値ありです。

日本昔ばなしの世界!雪あかりの秘境・五箇山合掌造り菅沼集落にいってきた 目次と地図

  1. 白川郷は知ってるけど五箇山って?という人のための合掌造りカンタン解説
  2. 五箇山菅沼集落到着!雪の里に響き渡る伝統民謡こきりこ節に惚れる
  3. 手づくりろうそくの雪あかり道を抜ける
  4. 日本昔ばなしの世界。雪にとざされた五箇山の合掌造りライトアップ

大きな地図で表示

今回の旅は東京から合掌造り集落や北陸の名所を見て回るバスツアー。あーこりゃラクだー、とおもったのもつかの間、やっぱり何時間も同じ姿勢でいるとさすがに疲労が…。でも、五箇山のあたりは電車ではなかなかアクセスしづらいし、ついでに白川郷も冬の永平寺も兼六園も座ったままいけたので良しとします!

1. 白川郷は知ってるけど五箇山って?という人のための合掌造りカンタン解説

今回も旅行記の前に軽く調べたことを記録してみました。興味があればご覧ください。解説とばして旅行記読みたい方はここをクリックして飛ばしてくださいませ :)

世界遺産の合掌造り集落が3つあるって知ってた?

はるか昔の平安時代、平家の落ち武者が住みついたとも伝えられている五箇山。合掌造りというとまっさきに白川郷が思い浮かぶ方が多いと思いますが、世界遺産としては、

  • 「荻町集落(白川郷)」 (岐阜県大野郡白川村)
  • 「相倉集落(五箇山)」 (富山県南砺市)
  • 「菅沼集落(五箇山)」 (富山県南砺市)

の、3つの集落が「白川郷・五箇山の合掌造り集落 (Historic Villages of Shirakawa-go and Gokayama) 」として登録されています。
世界遺産白川郷と五箇山の場所簡略地図
世界遺産の合掌造り集落が3つあるって知ってました?恥ずかしながらわたしは旅行にいくと決めるまで知りませんでした。伊勢神宮も2箇所あるって知らなかったし、富山といえば薬売りくらいしか知らなかったし、まったく、旅とは勉強であるね…。

日本昔ばなしの世界!雪あかりの秘境・五箇山合掌造り菅沼集落にいってきた 目次と地図へ

そもそも合掌造りってどんなんだっけ

合掌造りは「豪雪地帯ゆえ雪で潰されないよう、急勾配の屋根をもっている」という特徴がある伝統家屋。急勾配の屋根は雪を落としやすくしてくれるだけじゃなく、屋根裏に大きなスペースを作ってくれるので、豪雪の季節も家の中で養蚕などの作業ができるようになっています。
合掌造り簡単図解
あの屋根は、中にも外にもダブルで効果がある、とっても合理的なデザインだったのですねー。

なんで「合掌造り」って呼ばれてるの?

手を合わせた形に似ているから「合掌造り」。社会の授業でそう習ってから、わたしはいつも 「自分はまっすぐ手を合わせているけれど、世の中の人はみんなあの角度(45~60度)で手を合わせているのだろうか…」 と疑問を抱いていたのですが、この記事を書く間にやっと真実を知りました。

「合掌造り」の由来はなんと、手のひらを合わせたときの手の形ではなく、手のひらを合わせたときの腕全体の形、らしいのです!どどーん。
「合掌造り」の合掌の形
…知ってた?知ってました??常識なのかなーこれ。15年くらいずっと不思議でしたわたし。だって「合掌の形に似てるから」って言われたら、手の形だとおもうじゃないですか。確かにこんな合掌する人いないとおもうけども。ちゃんと「合掌したときの腕全体の形に似てるから」って言って欲しかったよ先生!

日本昔ばなしの世界!雪あかりの秘境・五箇山合掌造り菅沼集落にいってきた 目次と地図へ

白川郷と五箇山のちがい

さて。合掌造りのキホンを確認できたら、旅行者としては気になるのが白川郷と五箇山のちがい!簡単に3つにまとめてみました。(「解説あきたよーはやく旅行記みせろー」という方はここをクリック

その1) 規模がちがう!

白川郷と五箇山菅沼集落の現存する合掌造り棟数
白川郷は比較的大きな集落で、約60棟の合掌造りが圧巻。お寺もあるし、お店も多いです。
五箇山はとても小規模な集落。相倉集落は20棟、今回訪れた菅沼集落は9棟の合掌造りが現存しています。

その2) 雰囲気がちがう!

一言で言うと、白川郷は整備された大規模集落、五箇山はこぢんまりした秘境。
白川郷と五箇山合掌造り集落の雰囲気の違い
この写真、条件が揃ってなさすぎてダイエット広告のBefore・Afterみたいですが、あながち間違いではないかと。

白川郷は観光しやすいように整備されているので、雪道に慣れない人でも比較的歩きやすいです。五箇山よりは開けた雰囲気でした。
五箇山はかつて加賀藩の流刑地だったこともあり、白川郷よりも「谷あいの秘境」という言葉がお似合い。日本昔ばなし的雰囲気を味わいたい人にはちょうオススメです!

その3) 屋根の勾配もちょっとちがう!

白川郷と五箇山でもうひとつ異なるのが、雪質。荻町(白川郷) よりも相倉・菅沼(五箇山) のほうが湿気を含んで重たいのだそうです。それによって合掌造りの屋根の勾配も、五箇山のほうが急なんだとか。
白川郷と五箇山合掌造りの屋根の勾配の違い比較
この写真の合掌造りだとかなりびみょーーーーな差ですが、五箇山のほうがほんのちょっとだけ傾斜が急です。理にかなったデザインのちがい。美しいですね。

ほかにもちがう点はいろいろとあるようですが、前置きが長くなるのでこのへんにしておきます。以上、合掌造り即席調査記録でした!

それでは、真冬の五箇山菅沼合掌造り集落うろうろ記録、はじまりはじまりー。

日本昔ばなしの世界!雪あかりの秘境・五箇山合掌造り菅沼集落にいってきた 目次と地図へ

2. 五箇山菅沼集落到着!雪の里に響き渡る伝統民謡こきりこ節に惚れる

長々と解説読んでくださったみなさまおつかれさまです!とばしたみなさまこんばんは!ここから五箇山菅沼集落にいってきた記録がはじまります。

やっとこさバスで菅沼集落に到着すると雪の壁にろうそくの灯りが。「雪あかりの里」という呼び名でも知られる五箇山らしいステキ演出。
合掌造り五箇山菅沼集落に到着時の雪の壁

そういえばバスのなかで、こんなパンフレット(というか案内プリント)をもらいました。
合掌造り五箇山菅沼集落雪あかりの里パンフレット
この手作り感、すでにほっこり。集落の地図と、こきりこ節の案内などが載っています。 (この女子力高めネイルは友人A氏)

五箇山は世界でも有数の豪雪地帯。しかも、わたしが行ったこのときはたびたび「30年振りの豪雪!」という言葉をあちこちで聞きました。
合掌造り五箇山菅沼集落入口近くの合掌造り
さっそく合掌造りの家がそびえます。雪に埋もれそう!

合掌造りの銀世界で披露される民謡こきりこ節鑑賞

到着してすぐ、バスの駐車場からも近い場所で、こきりこ節が始まりました。
合掌造り五箇山菅沼集落にて、こきりこ節直前の伝統衣装の人たち
雪の積もった合掌造りをバックに、伝統衣装を身にまとい踊る姿はリアル日本昔ばなし。五箇山の集落に民謡『こきりこ節』が響きます。

しんしんと雪の里に吸い込まれていく、こきりこ節の旋律と打ち鳴らされるこきりこの音…。

民謡なんてそれほど興味なかったのに、かっこいい!かっこいいよこきりこ節!
真冬の合掌造り五箇山菅沼集落で見るこきりこ節
あんまりかっこよかったので、あとで踊っていた方と一緒に記念撮影してもらっちゃいました。五箇山にいったらこきりこ節鑑賞、オススメです。ちなみにこのときは地元の民謡団体が外のステージで披露していて、無料で見ることができました。

日本昔ばなしの世界!雪あかりの秘境・五箇山合掌造り菅沼集落にいってきた 目次と地図へ

2. 手づくりろうそくの雪あかり道を抜ける

こきりこのお兄さんと記念撮影して満足したあとは、いよいよ五箇山集落をうろうろします。

うろうろといっても、豪雪すぎて歩ける通路が限られているという状態。
合掌造り五箇山菅沼集落、雪の道
ろうそくが灯った雪の壁沿いに歩いてゆきます。

この雪の壁に設置されたろうそくは、さきほどもらった案内プリントによると「地元のお母さんたちの手づくり」だそうです。
合掌造り五箇山菅沼集落雪あかりの里ライトアップイベントでグラスに入ったろうそく
グラスらしき器に入ったものや、
合掌造り五箇山菅沼集落雪あかりの里ライトアップイベントで空き瓶に入ったろうそく
空き瓶を利用したもの、
合掌造り五箇山菅沼集落雪あかりの里ライトアップイベントで直接雪に刺さったろうそく
はたまた雪のなか、じかにろうそくを突き刺してあるもの、
合掌造り五箇山菅沼集落雪あかりの里ライトアップイベントでキティちゃんの空き瓶に入ったろうそく
キティちゃんの空き瓶に入ったろうそくも。

スタイリッシュだったり、統一感のあるキャンドルが設置されてるよりも、手づくりして持ち寄った気配がなんだかあったかい…。

合掌造り五箇山菅沼集落雪あかりの里ライトアップイベントでろうそくのそばに誰かが作って置いたゆきだるま
そしてときどきこんな雪だるまがあったり。雪の壁に空いた穴を覗いてはほっこりしながら、先へ進んでいきます。

日本昔ばなしの世界!雪あかりの秘境・五箇山合掌造り菅沼集落にいってきた 目次と地図へ

3. 日本昔ばなしの世界。雪にとざされた五箇山の合掌造りライトアップ

暗闇、ろうそく、ときどき、街灯。
合掌造り五箇山菅沼集落の雪の道と街灯

そしていきなり開ける視界!ぱかーっ
合掌造り五箇山菅沼集落ライトアップ風景
おお……これまさに雪あかりの里…!

下に降りてみるとおみやげ屋さんが営業してました。
合掌造り五箇山菅沼集落のおみやげ屋さん
近づいてみると住民の方々の「ふつうに生活している」空気が伝わってきます。世界遺産だけどやっぱりあくまでも生活の場。

五箇山菅沼集落の合掌造りファサード
立派な合掌造り。この急勾配じゃなかったら、屋根の雪はもっとすごいことになるのねきっと。

五箇山菅沼集落の合掌造りに積もった帽子雪
ずおーん。積もった雪が帽子みたい。

実際住んでいたらこの豪雪には苦労しそうだけれど…やはり綺麗。世界遺産として保っている住民の方々すごい。
五箇山菅沼集落の合掌造り群

豪雪で見通しが悪く、一旦集落に入るとよそ者にとってはほとんど迷路のよう。これが冬の五箇山。 寒さと暗さでブレブレ写真ばっかりになっちゃう、万年初心者カメラ女子に厳しい場所、それも冬の五箇山…。

ほんとはもっともっときれいなのよ…。このブレブレ写真じゃよくわかんないとおもうので、ちょっとでも気になる方はぜひいってみてください。

越中五箇山菅沼集落

住所
富山県南砺市菅沼
URL
http://www.gokayama.jp/index2.html (旧上平村管理下の五箇山案内サイト)

雪のなか静かに佇む茅葺屋根の合掌造り、響き渡り山々に吸い込まれていくこきりこ節。寒さが苦手で普段から南国移住を夢見るわたしですが、五箇山合掌造り、がんばって冬に来てみて良かったです。日本人魂をゆさぶられる本当に良いところでした。これなら世界遺産になっていても文句はない!

またぜひ夏にも来たいし、つぎ来たら合掌造りでの宿泊も画策してみようとおもいます。

この記事をシェアする

コメント / Comment

Advertising

このページの上部へ戻る / Back To Top