妙心寺東林院の「梵燈の灯りに親しむ会」のようす(京都)

紅葉にはまだ少し早い10月、京都の妙心寺で毎年催されている「梵燈のあかりに親しむ会」にいってきました。ふだんは公開されていない妙心寺東林院の庭園に、ろうそくの灯りで禅語があらわされます。さほど広くはない枯れ山水の庭園にならべられたろうそくは約400本。真っ暗闇の寺院にほのかなタイムスリップ気分をあじわいつつ、夜にゆらめく梵燈の幻想的な景色をながめて煩悩だらけのじぶんを見つめなおしてまいりました。いただいたお抹茶とお菓子が美味しかったまたたべたい\(煩悩)/

闇夜の寺にゆらめく炎。妙心寺東林院の「梵燈のあかりに親しむ会」にいってきた 目次とアクセス

  1. 妙心寺境内の夜さんぽで妄想の辻斬りにドキドキする
  2. 闇につつまれた東林院内部のようす
  3. 梵燈を尻目に煩悩の塊たちはお茶席をめざす
  4. ゆらめく梵燈と我が煩悩をみつめられる東林院の庭園

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京都駅からバスでバス停「妙心寺前」にいくルートをとりました。
妙心寺は京都にある臨済宗のお寺です。中心伽藍(中心となる建物) のほか、巨大な敷地のなかに約50の小さなお寺があり、寺院群となっています。今回梵燈に親しみにゆくのはその小さなお寺のひとつ、東林院です。

1. 妙心寺境内の夜さんぽで妄想の辻斬りにドキドキする

日も暮れて、いざ、妙心寺へ。
臨済宗大本山妙心寺
妙心寺は、臨済宗のうちの最大一派、妙心寺派の本山です。というわけで、かなり大きくてたぶん力もあるお寺。

妙心寺の夜間出入口
お祭り以外でははじめて入る、静まり返った夜のお寺。大きな正面の門は閉まっているので、脇に開いている小さな扉をくぐり、妙心寺の敷地へ足を踏み入れます。この入り口は24時間開いていて敷地内はだれでも通行できるみたいなので、夜のお寺さんぽはいつでも可能です。

すでに灯りは最小限でかなり暗め。むかしむかしは都会の夜もこんなだったのですよね。
夜の妙心寺を歩く
江戸より以前の時代にいるような錯覚を覚える。辻斬りとか現れるんではなかろうか…。むだにドキドキしながら歩きます。

妙心寺の瓦と影
際立つ影の美しさ。

妙心寺東林院入り口
無事「梵燈のあかりに親しむ会」が催されている東林院に到着。辻斬りはいなかった。やれやれ。

闇夜の寺にゆらめく炎。妙心寺東林院の「梵燈のあかりに親しむ会」にいってきた 目次とアクセスへ

2. 闇につつまれた東林院内部のようす

妙心寺東林院の梵燈のあかりに親しむ会、抹茶・珈琲メニュー
拝観は500円。中では、抹茶か珈琲(いずれも有料) をいただくことができます。

妙心寺東林院の提灯

妙心寺東林院の紋入り提灯
東林院は宿坊として宿泊することもできますが、基本的にふだんは一般公開されていません(イベント開催時を除く)。
梵燈のあかりに親しむ会
なので、この「梵燈のあかりに親しむ会」は宿泊者以外が足を踏み入れることのできるレアなひとときなのです。
妙心寺東林院玄関

妙心寺東林院内部
内部も最小限の灯りでかなり暗め。

もともとへたくそな上に夜間の撮影に慣れていないためこの先も暗くてよくわからない写真が続きますが、逆に実際の暗さに近いものになっていると自負しております!

妙心寺東林院で出迎えてくれた人形
「ぃらっしゃいませ」(市原悦子の声で)

妙心寺東林院の梵燈のあかりに親しむ会、梵燈頒布(有料)中
さっそく購入可能な物品が並ぶ場所を通り掛かる。梵燈買えちゃいますよ奥さん!ちなみに、この梵燈は住職が手作りしたあかり瓦だそうです。

妙心寺東林院の梵燈のあかりに親しむ会、生死事大の解説
一角には、今年の「梵燈のあかりに親しむ会」テーマ、「生死事大」についての言葉が書かれていました。

私たちには、生・老・病・死と言う大事があります。
人生に大事があればこそ、今生かされている『いのち』を自覚し、今を如何に生きるかが一大事ではないでしょうか。

毎年なにかしらの禅語(禅宗でつかわれる言葉) がテーマとなるそうで、この年は東日本大震災を受けて、「生死事大」が選ばれたようでした。

闇夜の寺にゆらめく炎。妙心寺東林院の「梵燈のあかりに親しむ会」にいってきた 目次とアクセスへ

3. 梵燈を尻目に煩悩の塊たちはお茶席をめざす

廊下をすすんでゆくと、梵燈の灯りがたくさん見える庭にでます。闇のなか、縁側に20人弱ほどのひとが座って梵燈を眺めていました。
妙心寺東林院の梵燈のあかりに親しむ会、標識行灯「茶席」「出口」
梵燈の揺らめく灯りが目に入りますが、それもそこそこに、わたしたちはまず上部にある標識行灯に従ってお茶席へ。
妙心寺東林院の梵燈のあかりに親しむ会、行灯「茶席」

闇のお茶席にて抹茶をいただく

お茶席のようす。やっぱり暗い。
妙心寺東林院の梵燈のあかりに親しむ会、お茶席のようす
隣の人の顔がよく見えないほど暗い…。

お茶席に座ると、作務衣?を着たお兄さんがお茶とお菓子をだしてくださいます。お菓子は桃山に白あんが入ったようなお茶菓子、お茶は抹茶でした。写真は暗すぎて黒い物体しか写っていなかったので載せません。

妙心寺東林院の梵燈のあかりに親しむ会、池の灯り
暗い暗いと言っているけれど、この暗さで庭の灯りが際立って美しいのです。灯りを眺めながら、心静かにいただきます。

闇夜の寺にゆらめく炎。妙心寺東林院の「梵燈のあかりに親しむ会」にいってきた 目次とアクセスへ

ゆらめく梵燈と我が煩悩をみつめられる東林院の庭園

お菓子とお茶をおなかにおさめ、さきほど通りすぎた縁側へ。
妙心寺東林院の梵燈のあかりに親しむ会、縁側からの景色
庭には梵燈の灯りがたくさん。梵燈以外なにも見えませんがこれ、庭園です。
妙心寺東林院の梵燈のあかりに親しむ会、生死事大の梵燈
2011年の梵燈の灯りに親しむ会のために選ばれた言葉、「生死事大」が。「生死」は行灯で、「事大」がろうそくの灯りでかたちづくられています。

わたしの日常ではなかなか味わえない暗闇にゆらゆらとちいさな炎たちが踊るさまは美しく、そして心に響くものがあり、静かにみつめてしまいました。

すべてに感謝を。煩悩にも感謝を。

しばらくの間、梵燈の灯りをぼんやり眺めていたのですが、だんだんおなかがすいて喉が渇いてきた我々は食欲を満たすべく妙心寺を発つことにしました。
妙心寺東林院の梵燈のあかりに親しむ会、庭の灯り

「生死事大」の「生」と「大」がつながって「生(ビール) 大(ジョッキ)」を連想したから喉が乾いたのではないですよ。ちょうど夕食どきの時間だったからですよ。ええ。ほんとうに。

命あるからこそ、美しい夜のお寺を歩けるし、幻想的な梵燈に感動できる、としみじみおもいました。

妙心寺東林院の梵燈のあかりに親しむ会、生大
ほんとうに生きてるって素晴らしいですね!

妙心寺 梵燈のあかりに親しむ会

場所
妙心寺 東林院
住所
〒616-8035 京都市右京区花園妙心寺町59

「梵燈のあかりに親しむ会」(10月) のほかにも、「小豆粥で新春を祝う会」(1月)、「沙羅の花を愛でる会」(6月) 開催時に拝観できます。精進料理教室もコンスタントに開催されているとのこと。それ以外の期間は一般公開されていませんが、宿坊として宿泊することも可能みたいです。

というわけで、今日も命あることへの感謝を胸に抱きつつ、先斗町へ向かったのでした。

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