
青森旅行記その4。イタコで有名な日本三大霊場のひとつ・恐山へいってきました。日本最強レベルのパワースポットで地獄をうろつきイタコの口寄せをチラ見した後は、自衛隊のハイテク防衛施設・ガメラレーダーに遭遇。恐山はスピリチュアルとハイテクの2大巨塔をいっぺんに見られるお得スポットだった…!そんなお得感にわくわくした夏の2泊3日青森旅行2日目後半の記録です。
(八甲田温泉とみそカレー牛乳ラーメンに舌鼓を打った青森旅行記その3はこちら)
イタコを横目に地獄観光。日本三大霊場恐山と釜臥山にいってきた 目次とルート
青森旅行2日目後半のルートはこちら。青森市を出発し、引き続きレンタカーで下北半島の “斧” の内側をずんずん北上します!
1. あの世とこの世の境をうろうろ。霊場恐山にいってきた
青森市内から車で約2時間半、陸奥湾沿いに北上し、下北半島の斧の真ん中あたりを目指していくと、そこにはかの有名な日本三大霊場・恐山があります。
恐山に近づくと、なにか霊気を放出していそうな看板が見えてきましたよ!
字のかすれ具合と「山」の字がすでに和風ホラーな雰囲気。「入口」って書いてあるけどこの先にまだ道路があります。
三途の川はゆでたまごのかほり
「入口」の立て看板から少し行くと、宇曽利湖(宇曽利山湖、「うそりこ」または「うそりやまこ」)のほとりに出ます。この湖も十和田湖みたいに透明で本当に綺麗な湖なのですが、違うのは匂い。亜硫酸ガスが出ているので、強烈なゆでたまごの匂いがします。くさいよ!ゆでたまご好きには良い匂いかも!
これは三途の川じゃないほうの、宇曽利湖に流れ込んでる川。もう、水以外の何かが含まれてることがひと目でわかります。全体的にくさいです。でも、水そのものはとっても綺麗そう。
水を触ろうとするM氏。この直後、彼女はすべって転びました。ぬかるみ要注意。ここで転ぶとびしょびしょだしくさいし大変なことになります。
素朴な顔したお地蔵さまの先には…。
こちらが三途の川、に架かる橋。さようならK氏。
三途の川に架かる橋の上から、宇曽利湖を見たところ。この杭は旅立ちの道筋なのでしょうか。ちなみにこの三途川は、正式名称は正津川といって、宇曽利湖から流れだす唯一の川らしいです。
ここももちろんくさいです。三途の川ってくさかったんですね…。
入場券から雰囲気を盛り上げてくる恐山の霊場
三途の川を乗り越え、再び車で道を進むと、今度は門のような看板が。いよいよ「霊場・恐山」へ入ります!
ぶんぶん車をとばして、霊場の入口に到着。駐車場には20台くらいの車が止まっていました。この駐車場を見ると、なかなかにぎわってる感じがするのだけど、このあと中に入ってみたら、敷地が広いこともあって停まってた車のわりに人間自体は少ない気がした。
受付で入山券を買います。大人500円。
入山券の「恐山」のフォントが恐怖感をあおっている…。
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イタコさん発見!お祭り期間外でも口寄せしてた
受付を通りぬけると、正面が参道です。
参道を進もうとしてふと左を見ると、なんとなんと、こんな看板があるじゃーありませんか。「イタコの口寄せ」!イタコさんが来てる!
なぜこんなに興奮しているのかと言いますと、この旅行前にイタコについて調べた際に、イタコは恐山に住んでいるわけではなく津軽に散在していて、お祭りのときだけ恐山に大集結するということを知ったので、お祭り期間外だった今回はまったく期待していなかったのです。
お祭りは毎年7月20日から24日の間に、曜日関係なく開催されている「恐山大祭」というもので、その期間中は、集結するイタコの口寄せを目的に来る人も多くいるとか。この旅行は恐山大祭の直前でした。
お祭り前で前乗りしていたのか、この日の恐山では、2人のイタコさんが口寄せをしていました。
口寄せって、なにか特別な建物内でやるのかとおもったらハンドメイド感あふれる小さな小屋で行われていました。恐山大祭のときは、この場所にずらりと小屋が並び、順番待ちの人でごった返すらしい。
小屋は写真のとおり手前が閉じていないので、だれでも中をのぞくことはできます。わたしも、ちょっとだけのぞいてみました。写真撮影は控えたので、中の様子は図(うろ覚え)で。
上が平面図、下が断面図です。小屋の一番奥にござのようなものが敷いてあり、イタコの方(やや高齢な女性)がその上に座って口寄せしてました。小屋の中、手前左右には小さな長椅子が置かれていて、順番待ちのひとたちが10人弱くらい、座って待っていました。小屋の大きさのわりに、けっこうな人数が入っていた印象。待ってる人は中高年から若そうに見える人まで、老若男女さまざま。
肝心の口寄せですが、イタコさんが超高速の津軽弁(たぶん)だったので、内容はまるでさっぱりぜんぜんわかりませんでした。ネイティブ津軽弁を聞き取れない人が口寄せしてもらうときは、津軽弁の通訳さんを連れて行ったほうが良いかとおもわれます!
巨大卒塔婆や無料温泉もあるよ
こちらは塔婆堂。
巨大な卒塔婆が並ぶ異様な光景に、ちょっとたじろぐ。これ、人が並んでないからわかりにくいけど、大きいのは3メートルくらいありました。
手水舎の脇にあったこれまた異様な亀さん。たくさん銭を食わされてあわあわしているように見える…。
これが恐山の温泉。入山料さえ払っていれば、無料で入浴できます。女湯も男湯もあるよ。上の写真は男湯の「冷抜の湯」です。窓が開いていたのでおじさんが見えました。いやーん。
こちらは女湯「古滝の湯」。
時間の関係で入浴はできなかったのですが、中はのぞきました。引き戸を開けたらすぐに脱衣所で、目の前に裸のおばちゃんがいてちょっとたまげました。内装も木造。脱衣所とお風呂場は上下のあいた仕切りだけで分かれていて、なかなか質素なつくりです。洗い場もなかったような。でも清潔感はありました。素朴な温泉に入りたいひとには良いかも。わたしも時間があったら入りたかったなー。
参道脇の寄り道を終え、正面の門へ。
こちらが本尊安置地蔵殿。正面の建物です。ここでお参りをしました。
お参りして後ろを向くと、看板の裏に仏さまが勢揃いしていました。ちょっと、看板の仕上がりが庶民派な雰囲気で、逆に禍々しい…。
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地獄のおさんぽタイム開始
ここから地獄めぐりのはじまりです。地獄にも順路があるんですね。
ごつごつした岩の道を歩きます。岩の隙間から、硫黄くさいかほりのガスが噴出してて、目にも鼻にも地獄っぽさを感じる。
地獄にたたずむ仏さまが見える。
とにかくあたりは岩だらけで動物もいないし植物もあんまり生えてません。
さっきいたお堂のあたりが、だいぶ低く見えます。地獄はわりと高低差があるのです。
歩く先々に仏像や、小さなお堂があったり。
いちばん高い場所に到達すると、宇曽利湖が見えました。
ふと上を見るとお地蔵さま。一瞬地元のおばあちゃんかと思った。
とおくに巨大な仏像が見える。
高さ5メートルくらい?比較的新しそうな仏像。場所はたっぷりすぎるほどたっぷりあるから、これからももっと仏像やお堂が増えたりするのかなぁ。
火山ガスと熱湯噴出中!デンジャラスな地獄へ
ガスは道のあちこちから噴出しているのですが、とくに盛大に噴出する場所には「危険」の立て札が。恐山は活火山なので、厳密に言うとどこもかしこも危険なのかもしれません。こんなにたくさんぶしゅぶしゅガスが出てる場所を身近に見られるのも、なかなか貴重かも。
お湯も沸いてるよ!流れているお湯を触ったらふつうのお風呂並(40℃くらい)だったので、たぶん、湧いてる(沸いてる?)お湯そのものは熱湯並なのではないかと推測されます。
こちらは血の池地獄。でも、なんでか、赤くなかったです。
地獄の山を乗り越えると、宇曽利湖に出ます!ちょっとした達成感。
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綺麗すぎてここはあの世?宇曽利湖と賽の河原に到着
宇曽利湖も、透明度13メートルほどと、とても綺麗な湖なので一瞬心が躍りましたが…
はっ…石が積まれておる!もしやここは賽の河原…!
お供えが…
水辺に刺されたたくさんのかざぐるまがカラカラ廻っている…
心躍ってちゃいけないような気がしてきた…良すぎる天気も逆に怖い…
ちなみにこのかざぐるまは輪廻の象徴であり、お花の代わりに供えるのだそうです。恐山の売店で販売してます。一斉にカラカラと音を立てて廻る様子と、宇曽利湖の現実離れした美しさで、ほんとにあの世に来たような気分。こんな綺麗なとこ来るなら死ぬのも良いかもなー。でも、ずっと石積んでなきゃいけないのはいやだな…。
かざぐるまの数は100を超えるくらいでしょうか。もっとかな。たくさん集まると、廻る音も増幅して、なんだか夢に出そうだった。
地獄にはまむしもいるらしいですよ!要注意!
重罪地獄と修羅王地獄でしめくくり
宇曾利湖をあとにして、地獄順路の先へ進みます。後半戦は、さらに恐ろしそうな地獄がありました。
こちら、重罪地獄と修羅王地獄。どちらもガスの出方がいままでとはケタ違いな雰囲気。修羅王地獄にいたっては、全部が危険エリアとして認定されていました。もわもわと湯気が上がってるし、近づくと明らかに熱を感じます。
青空に仏さまの背中。
恐山周辺を訪れたこのときが、この青森旅行中でいちばん良い天気でした。
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2. ハイテク防衛施設・釜臥山のガメラレーダーと、陸奥湾を見下ろす展望台にいってきた
ところで、恐山に行くときから気になっていたものがありました。
これです。
賽の河原からも見える、山の上の白いもの。簡易トイレであると断言する同行者M氏。その真偽を確かめるべく、我々は疑惑のトイレを目指して車を走らせた!
近づくにつれて、ますますその巨大さを感じます。こんなに巨大な簡易トイレを利用する人間はどれだけ巨大なのか。十和田市現代美術館のあのヒトみたいな人がいるのかしら。ドキドキ。
ガメラレーダーと双眼鏡無料の釜臥山展望台
巨大簡易トイレ(?)を目指しているうちに、恐山近くの釜臥山展望台にたどり着きました。宇曽利湖が見えます。恐山もたぶんあっちのほう。
そして…
どーん。
巨大簡易トイレが目の前に!
これ、実は自衛隊の防衛用レーダー、通称「ガメラレーダー」だそうです。正式名称はJ/FPS-5というそうな。簡単に言うと、ミサイル防衛のためのレーダー。不審な車や人が近づかないように監視していたおじさまが教えてくれました。
なんと、巨大な簡易トイレは日本を守るガメラレーダーだった!日本最大級のスピリチュアルスポット恐山のそばにこんなハイテク施設があるとは…。簡易トイレ呼ばわりしてしまって大変申し訳ございませんでした。ありがとうガメラレーダー。これからもよろしくね。活躍する事態が起こらないことを祈りますが。
ガメラレーダーにひとしきり感心したあとは、釜臥山展望台の双眼鏡で陸奥湾を眺めてみました。
正面は、斧状になってる下北半島の斧の内側、左手の向こうのほうが北海道ということになります。わかりますかな?(2枚手前の写真、釜臥山パノラマ地図をご覧いただけるとわかりやすいかとおもいます。)
この双眼鏡、陸奥湾を航行している船の甲板に人がいるところまで見えるくらいの高倍率なのになんと無料です。青森県太っ腹。
スピリチュアルスポットとハイテク防衛スポットを間近で見れちゃう青森・下北半島恐山エリア。意外な組み合わせでお得だなあと思いながら釜臥山展望台をあとにし、この日の宿のある薬研温泉へ向かいました。
青森旅行記その5 「大間のマグロ」を食す!本州最北端、漁師の町・大間にいってきた につづく。
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